筆者:菊田大介
給与所得者の場合、逸失利益の算定においては、原則として事故前の収入を基礎とします。もっとも、今後収入の増加が認められると証明できたような場合には、事故前の収入以上の収入を前提として、逸失利益が算定されることもあります。
東京地裁平成20年1月24日判例では、事故当時41歳の運転手の収入は約383万円でしたが、運送会社に就職したばかりであり、今後収入の増加が認められる長距離運送に従事することが期待できたことなどを考慮し、賃金センサス男女計学歴計全年齢平均の488万円が基礎とされました。
基礎となる年収が100万円違うと、事案によっては、総額で数千万円の差がでることもありえます。訴訟では、ご本人の陳述書や、会社の給与基準の表などを裁判所に提出し、増額される蓋然性を立証していくことになります。