筆者:菊田大介
事故前と事故後とで、収入が減少していない場合には、逸失利益が認められないことが原則です。しかし、特段の事情があれば、逸失利益が認められることもあります。
大阪地裁平成10年12月1日判例では、当時28歳の男性会社員について、利き腕の右腕を麻痺したことについて、本来であれば、事務職という仕事の内容からすると直接仕事の効率に影響するはずだが、努力によって減収を免れているに過ぎないとして、39年間にわたって27パーセントの労働能力喪失を認めました。
このように、収入が減少していないからといって、必ずしも逸失利益を諦める必要はありません。